Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
漠として、
(生きている――)
身を感じ、急に独りぼッちになった身の、生きる道を、探り歩いている形だった。
バタバタと虹のように眼を遮った物がある。雉子だった。山藤の香りがする。伊織は坐りこんで、
(何処だろ?)
もいちど、考えた。
ふと彼は縋るものを見つけた。大日様の微笑である。大日様は、雲の彼方にも、峰にも谷にも、何処にでもいるものと彼には思われたので、山芝の上にぺたんと坐ると、
(わたしの行く先を教えてください――)
と、掌を合せた。
眼をつぶっていた。
そしてしばらくして、顔を上げると、山と山のあいだに、遠く海が見えた。薄ッすらと、碧い靄のように見えた。
「……坊んち」
さっきから彼の背後に立って怪訝しげに眺めていた婦人がある。娘と母であろう、二人とも軽い旅装いはしているが身綺麗にして、男の供も連れていない様子。近国に住む良家の者の、神詣でか仏参か。徒然の春の旅か。そんなふうに見うけられる。
「……何?」
伊織は、振向いて、御寮人と娘の顔をじっと見た。まだどこか、眼がうつろなのだった。
娘は、母を見――
「どうしたんでしょう?」
と、ささやいている。