Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
「そんな持て余す小僧なら、わしの家へもらって帰るよ。きょうは一つ、御寮人やお鶴にも、話してみよう」
と、耳にもかけず、奥へ通ってしまった。御寮人に聞えてはと、佐兵衛はひどく惧れていた。そのせいか、にわかに伊織へ当りがよくなったが、伊織の泣きじゃくりは、縛めを解かれても、小半日は止まなかった。
大戸が卸りて――
店も閉まった黄昏頃。南蛮屋は、奥で馳走になったらしく、微酔をおびて、いい機げんで帰りかけたが、ふと伊織を土間の隅に見つけて、
「わしがお前を、貰ってゆこうと、掛合ったところがな、御寮人もお鶴も、何といっても、いやだという。やはり可愛いのだよ。だから辛抱せい。……その代りにな、明日からはもう、あんな目には、会わしゃあせんで。……よいか、おい、大将。はははは」
彼のあたまを撫でて、そういって、帰ってしまった。
嘘ではなかった。南蛮屋がいってくれた効き目であろう。その翌日から、伊織は店から近所の寺子屋へ通って勉強することを許された。
また、寺子屋へ通う間だけ、刀を差すことも、奥からの言葉で、免許になった。――佐兵衛もほかの者も、それからは余り辛く当らない。