Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(七)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme

Aozora Bunko

「……七宝寺を思い出すなあ」

階段に足を投げ出し、縁に腰をかけながら、又八はつぶやいた。二人が顔をあわせた時、何ぞといえば、木の実や草の話からでも、すぐ故郷の思い出が口に出るのだった。

「……うむ」

と武蔵にも同じ思い出がわいていた。けれど、それからは、二人とも、黙って、思いを口に出さなかった。

何時ものことである。

故郷のはなしが出れば、それにつれて、お通のことが、二人の念頭に泛んでくる。また、又八の母のことやら、苦い数々の記憶が、今の友情をみだして来る。

今では、又八も、それを惧れるふうであった。武蔵も、いわず語らず、避けていた。

――だが、その晩にかぎって、又八は、もっとそれについて話したいような顔つきで、

「七宝寺のある山は、ここよりも高かったな。ちょうど麓には、矢矧川と同じように、吉野川が流れていた。……ただここには、千年杉がない」

武蔵の横顔を、そういいながら見つめていたが、突然、

「なあ、武蔵どの。いつかいおう、いつか頼もうと思っていたが、つい、いい出しかねていたが、おぬしにぜひ承知してもらいたいことがあるのだ。肯いてくれるか」

「わしに? ……はて。