Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
又八が、面と向って、それをいい出した時、武蔵は、
(それは出来ない!)
ともいい切れなかった。
(お通を、妻にもつ気はない。以前は、おぬしの許嫁だ。懺悔と、真心を示して、おぬしこそ、お通との仲を取りもどせ!)
とは、なおさら、いわれなかった。
では、何といったか。
武蔵は、始終、何もいわなかったのであった。
何をいおうとしても、自分のことばは、嘘になるからだった。
といって胸の底に蟠っている本当らしいことは、自分に顧みて、いえもしなかったからである。
それにひきかえて、今夜の又八は、必死だった。
お通のことからして、解決しておかなければ、沙門の弟子になっても、ほかの修行を求めても、一切、むだなものになるから。
――というのだった。
そしてまた、
(おぬしがおれに修行をすすめたのではないか。それほど、おれを友達と思ってくれるなら、お通も救ってやってくれ。それはおれを救ってくれることにもなるんじゃないか)
と、七宝寺時代の幼な友達の頃の口調そのままになって、果てはおいおいと泣いていったのである。
武蔵は、彼のその姿に、
(四ツか、五ツの頃から見ているが、こんな純情な男とは思わなかった――)