Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
さては。
と、そこで帰りを待つ気にもなれず、何か取る策もあろうかと、亘志摩の邸附近を心あてに、これまで来たわけである――と又八は話した。
武蔵は、聞いて、
「そんな心配を煩わしていたとは思わなかった。かたじけない」
と、彼の親切気には、深く謝したが、なお、愚堂の脚下にひざまずいた身はいつまで、起そうともせず、じっと地に坐っていた。
そして、やがて、
「和上っ」
と、強く呼んだ。愚堂の眸を、きっと見上げたままにである。
「なにか」
愚堂は、武蔵の眼が、自分に何を求めているか、母が子の眼を読むように、すぐ覚っていたが、
「何か」
かさねて訊ねた。
武蔵はひたと、両手をつかえ、
「妙心寺の床に参禅して、初めてお目にかかりました頃から、はや十年に近くなりました」
「そうなるかのう」
「月日は十年を歩みましたが、自分は何尺の地を這ったか。顧みて、自分でも疑われて参りました」
「相変らず、乳くさいことをいう。知れたことじゃ」
「残念でござります」
「何が」
「いつまで修行の至らぬことが」
「修行、修行と、口にしているうちはまだ駄目じゃろうて」
「といって、離れたら?」
「すぐ縒が戻ろう。