Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
いや彼の心には、そうした慾望そのものよりも、きょうまで、自分を小馬鹿にした世間の、ありとあらゆる奴らに、
(どうだ)
と、見返した顔をしてやりたい――とする、その魅惑のほうが強かったに違いない。
舟から陸へもどって、長屋の家に帰って、ごろんと、仰向けに寝ころんだ後も――頭の中を占めているのは、金の魔夢であった。
「そうだ、運平さんに、頼んでおかなくっちゃあ……」
思いついて、隣家をのぞいたが、運平親方は出かけていない。
「じゃあ、晩にまた」
と、家へ帰って来たが、熱病に憑かれたように、落着かなかった。
それからやっと、彼は、海の上で質屋の大蔵に命じられたことを思い出して、ぶるぶると人もいない裏藪や表の露地を見まわした。
「いったい、何だろ? あの人は……」
今になって、それを考えてみるのだった。それと共に、舟の上で大蔵から命じられたことを思い出してみた。
井戸掘り人足は、江戸城の中の、西の丸御新城とよぶ作事場へはいる。――と、そんなことまで大蔵は知っていて、
(機を窺って、新将軍の秀忠を鉄砲で撃止めろ)
と、いうのであった。
また。
それに使う短銃は、こちらの手で城内へ埋け込んでおく。