Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(七)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(七) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 350.912 Zeichen · 702 Bildschirme
……とかく未然に事の破れるのはいつも金からだからの」
「それも考えておりますから、ご心配には及びません。……ですが旦那、首尾よく仕遂げた後で、後金はやれねえなんて苦情は出やしますまいね」
「ふ、ふ。……又さん、口幅ったいようだが、この奈良井屋の蔵には、金なんざ、千両箱であの通り重ねてある。眼の楽しみに眺めてゆくがいい」
手燭を揚げて、大蔵は埃だらけな蔵の隅を一巡した。
膳箱だの、鎧びつだの、何の箱か知れないものが雑然とみえた。又八は、よく見もしないで、
「お疑いしたわけじゃございませんが」
と、言い訳して、なお、半刻ばかりそこに密談していたが、やがて、やや元気になって、元の裏口からそっと帰って行った。
彼が、出て行くとすぐ、
「おい、朱実」
大蔵は、灯りのついている障子の内へ、顔を入れて、
「あの足ですぐ、金を埋けに行ったろうよ。試しに尾けて行ってみな」
湯殿口から、誰か出てゆく跫音がした。見ると今朝、又八の家から姿を消したばかりの朱実ではないか。
近所の者に出会って、
(品川の親類へゆく)
などといったのは、勿論、彼女のでたらめであった。
質ぐさを抱えて、何度か、此処へ通ううちに、主の大蔵の眼は、いつのまにか、朱実を擒にして、朱実の今の境遇や心もちまで、聞いてしまった。