Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
退がるとまた、
「おいっ、誰か来て、この障子を閉めろ、病人が寒いじゃないか、馬鹿」
膝を、あぐらに崩して、火桶をかかえ込み、黙っている兄の顔を覗き込んで、
「いったい、勝負はどんな立合い方をやったんです。宮本武蔵などという者は、近頃ちょっと聞え出した男ではありませんか、兄貴としたことが、そんな駈出しの青二才に不覚をとるなんて……」
門人が、ふすまの境から、
「御舎弟さま」
「なんだ」
「お酒の支度ができました」
「持って来い」
「あちらへ用意してございますゆえ、おふろにでもお入りになって」
「湯になんか入りたくもない。酒はここでのむから、ここへ持って来い」
「え、お枕元で」
「いいさ、兄貴とは久しぶりで話すのだ。永い間、仲も悪かったが、こういう時には、やはり兄弟に如くものはないよ。ここで飲もう」
やがて、手酌で、
「うまい――」
と、二、三献つづけ、
「丈夫だと、兄上にも、久しぶりで一杯さすのだが」
などと独り語りにいう。
清十郎は、上眼づかいに、
「弟」
「ウム」
「枕元で、酒はよしてくれ」
「なぜ」
「いろいろ嫌なことが思い出されて、おれは不愉快だから」
「嫌なこととは」
「亡き父上が、さだめし、兄弟の酒には、眉をひそめておいでになろう。