Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
この元旦、五条大橋のそばでお互いに見かけているはずであるが、佐々木小次郎のほうには、覚えがなかったであろう。
「女子、そこのおばば。お前たちは今ここへ登って来たのか」
「…………」
訊ね方が唐突なので、お通もお杉婆も、ただ小次郎の派手派手しいすがたへ眼をみはっていた。
すると小次郎は、いきなりお通の顔を指さして、
「ちょうど、これくらいな年ごろの女だ。名は朱実といって、もちっと丸顔、がらはこの女子より小つぶだが、茶屋そだちの都会娘、どこかもそっと大人びている風がある……。見かけないか、この辺りで」
「…………」
黙って、二人が顔を振ると、
「おかしいな? 三年坂の辺りで、見た者があると訊いたのだが、さすれば、この辺の御堂で夜を明かすつもりにちがいないし……」
初めは相手を置いていた言葉であったが、途中から独り言のようになって、それ以上は問いようもなく、なにかまだ、ふたことみこと呟きながら、小次郎はどこともなく立ち去ってしまった。
婆は、舌打ちして、
「なんじゃあの若者は、刀を負うているところを見れば、あれでも侍じゃろが、これ見よがしの伊達すがたして、夜まで女のしりを追うていくさる。