Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「小次郎様、小次郎様ッ。……どこですか、武蔵様のいるところは。……武蔵様はいませんか」
「……あ?」
小次郎が振向く。
吉岡方の、植田良平や、他の人々も、
「ヤ、朱実じゃないか」
と、つぶやいて、一瞬ではあったが、すべての者の眼と怪訝りとが、彼女と小猿の姿にとらわれてしまった。
小次郎は叱るように、
「朱実、なんでお前はここへ来たのか。――来てはならんといっておいたはずだ」
「わたしの体です。来ては悪いのですか」
「いけないッ」
朱実の肩をかるく突いて、
「帰れ」
小次郎のいう言葉を、彼女は息を喘りながら烈しく顔を横に振って拒んだ。
「いやです。――私は貴方のお世話にはなりましたが、貴方の女ではないでしょう。……それを」
急に、朱実は、声をつまらせてしゃくり上げた。あわれっぽい嗚咽に、男たちの荒びていた感情が水をかけられたような気がしたと思うと、その気持を裏切って、朱実の次のことばは、男性のどんな場合のものよりも強い血相をふくんでいた。
「それを、なんですか、あなたは私を数珠屋の二階に縛りつけたりなどしてッ。――わたしが、武蔵様のことを心配すると、あなたは、わたしを憎いように苛めて来たではありませんか。