Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「――なに、佐々木小次郎? ……佐々木小次郎というのは、わがみのことではないのか」
「ど、どうして」
「いつであったか、大坂表でわがみが、わしに見せてくれた中条流の許し書の巻物に、そう書いてあったじゃろうが。その時、わがみは佐々木小次郎というのは自分の別名じゃというたではないか」
「嘘だ、あれは嘘なんだ。――その悪戯がバレてしまい、本物の佐々木小次郎奴にひどい懲らしめに遭わされたのだぞ。――実は、おばばのところへ手紙をたのんでから、約束の場所へ出向こうとすると、またもここで彼奴のすがたを見かけたので、眼にとまっては大変と、あっちこっちに隠れ廻って、様子をながめていたというわけ。――もう大丈夫かしら、またやって来ると面倒だが」
「…………」
呆れてものがいえないように、お杉は黙ってしまったが、ひと頃よりはまた窶れて、正直に自分の無力と小胆を顔にあらわしている挙動を見ると、婆は、よけいにこの子が愛しくなってならないような様子だった。
三
「そんなことはどうなとよい」
婆はもう、わが子の弱音を、それ以上聞きたくもないという顔して、首を振った。
「それよりは又八、おぬしは、権叔父の死んだことを知っていやるか」