Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「哭かずにいられるかっ。……馬鹿、馬鹿っ、馬鹿婆アめ!」
「かなしいのか」
「あたりまえだ! おばばのようなくたばり損いが生きていなければ、おれは、どんなことをしても、もいちど、お通の気持を取りもどして見せたんだ。くそっ、家名がなんだ、故郷の奴らへの面目がなんだ。……だが、もう駄目だ……」
「知れた愚痴をいやる。それほど未練があるのなら、なぜ婆の首を打って、お通を助けなかったのじゃ」
「それが出来るくらいなら、おれは哭いたり愚痴をいったりしやしねえ。世の中に、分らずやの老よりを持ったくらい、不倖せなことはねえ」
「よしたがよい、なんのざまじゃ、それは……。折角、出来しおったと賞めているのに」
「勝手にしろ。……おれはもう一生涯、やりたい放題のことをやって、出たら目に送ってやるぞ」
「それが汝が身の悪い気質じゃ。たんと駄々をいうて、この年老った母を困らせるがよいわ」
「困らしてやるとも、くそったれ婆め、鬼婆め!」
「オオ、オオ。なんとでもいうがよいわい。さあさあ、そこを退きなされ。今、お通の首を掻き切って、それからとっくりと話して進ぜる」
「た、たれが、薄情婆の談義などを聞くかっ」