Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
母子の影を見送りながら、沢庵はつぶやいていた。彼の足は、急ごうともしないのだ。――お通を捜すことを急務としているから。
だがいったい、お通はどうしてしまったものだろう。
あの母子の刃から、どうした機みかで逃げ終おせたことは確実と見ていい。沢庵はこころの裡で、先刻から大きな欣びを胸へ拾っていた。
けれど血を見たせいか、お通の生きている無事な顔を見ないうちは、なんとなく気が落着かない。夜が明けるまで、もひとつ捜してみようと思う。
そう決心していると、さっき崖を上がって行った旅籠の提燈が、そこらの堂守たちでも狩りあつめて来たらしく、七つ八つの灯の数に殖えて、ふたたび崖を降りて来た。
行き仆れ牢人の赤壁八十馬の死骸を、そのまま崖の下に埋葬してしまうつもりらしく、早速かついで来た鍬や鋤を振るって、ドスッ、ドスッ、と夜陰の底へ不気味なひびきを震わせる。
その穴があらかた掘れたかと思える頃、
「や、ここにも一人死んでるぞ、ここのは美れいな女子だ」
誰かが喚いた。
穴を掘っている場所からものの五間と離れていない場所なのだ。滝水の流れが岐れて来て、小さな沼が木や草におおわれているその淵だった。