Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
野に伏しても、どこへまいっても、この袷一枚が、やはり自分らしくて気ままですから」
「それはいけません」
妙秀尼は、変なところで、厳格になって、武蔵をこうたしなめた。
「貴方はそれでよいじゃろが、汚い身装をしていては、綺羅やかな遊廓の席に、雑巾が置いてあるように見ゆるではないかの。世事の憂いこと醜いこと、すべてを忘れて、一刻でも半夜でも、綺麗事につつまれて、さらりと屈託を捨てて来るのがあの遊廓でござりまするがの。――そう思うてみれば、わが身の化粧や伊達も、廓景色の一つ、わが身だけの見得と思うが間違いであろが。……ホ、ホ、ホ、ホ、そういうたとて、名古屋山三や政宗どの程な晴れ着でもない、ただ垢がついていぬというだけの衣、さあ世話をやかせずに袖を通してみなされ」
「は、……それでは」
武蔵が素直に分って、着がえを済ますと、
「おお、よう似合う」
と妙秀尼は二人のさばさばした身姿をながめて、わけもなく喜ぶ。
光悦は、ちょっと仏間へはいって、そこへ小さい夕方の燈明を捧げていた。この母子は日頃から厚い日蓮宗の信者であった。
そこから出て来て、待っている武蔵へ向い、
「さ、お供いたしましょう」