Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
こう聞いてみると、無碍に断って帰るのも、なんだか狭量に思われるだろうし、吉野が主人となって、自分たちを招くという心意気にも、べつな感興が唆られないこともない。
「参ってみようか」
「せっかく、太夫がそういうものを」
そこで、禿や引船に案内されて従いてゆくと、庭先へ鄙びた藁草履を五名分そろえる。やわらかな春の雪はその人々の藁草履で痕も残さず踏まれてゆく。
武蔵を除く以外の者は、すぐその趣向に、
(ははあ、招きは茶だな)
と、想像していた。
吉野が茶の道に嗜みのふかいことは今さらのことではない。また、こういう後で一わんの薄茶も悪くないなどと思いながら行くと、やがて茶室の側も素通りして、どうやら裏庭のずっと奥の風情もない畑地まで来てしまった。
やや不安になって、
「これこれ、いったい麿たちをどこへ連れてゆくのじゃ。ここは桑畑ではないか」
光広が咎めた。
すると引船は、
「ホホホ、桑畑ではございませぬ。春の末には、毎年ここで皆様が床几でお遊びになる牡丹畑でございまする」
しかし、光広の不興げな顔は、寒さと併せて、いとど苦々しく、
「桑畑であろうと、牡丹畑であろうと、こう雪が降り積って、蕭条ととした有様では同じことじゃ。