Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「は。……では」
恟々と、武蔵は彼女のそばへ座を占め、一同に倣って、ぎごちなく両手を炉へかざした。
彼が自分のそばへ坐る機に、吉野は彼の袂の端をちらりと見ていたが、やがて人々が話に興じて紛れ出したところを見はからい、そっと懐紙を持って、武蔵の袂の端をそれで絞るように拭いていた。
「あ、恐れ入ります」
武蔵が澄ましていれば誰も気づかなかったのに、彼が、自分の袂をのぞいて、こう礼をいったので、皆の眼が、ふと吉野の手へ移った。
彼女の手に畳まれた懐紙には、べっとりと、赤いものが拭きとられていた。
光広は、眼をそばだてて、
「ヤ! 血ではないか」
と、口走った。
吉野はほほ笑んで、
「いいえ、緋牡丹の一片でございましょう」
と、澄ましていた。
二
めいめいが、一つずつ杯を持って、好む程度に、それを愛し合っていた。炉に燃える榾火は、炉をかこんでいる六名の面へ、やわらかな明滅となって揺らぎ、戸外の雪をしのびながら、その焔を見つめ合って、みな、黙思に耽っているのであった。
「…………」
榾の火が乏しくなると、吉野は傍らの炭籠のような物の中から、一尺ほどに揃えて切ってある細い薪を取って焚べ足した。