Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
そして今からそれを予想してみるだけでも、ぞくぞくして来て、肌は総毛だち、血は全身を駆けて待ち遠しがる。
「滅多に遭い難いものにわしは遭った。蓮台寺野の折も、次の時も、実見できなかったが、今暁は見られる。……はてな、武蔵はまだか?」
ちょっと、低地の道を覗いてみたが、まだ戻って来る影は見えない。小次郎は立っていてもつまらないので、木の根に腰をおろした。
そしてまた、密かに空想を楽しんでいる――
「あの落ちつき澄ましている様子では、まったく死を決しているらしいから、かなりなところまで戦うだろう。なるべく、斬って斬って斬りまくってくれたほうが見ごたえがあっていい。……だが、吉岡のほうでは飛道具の備えまでしているといったな。……飛道具でどんと一発やられてしまっては、万事終ってしまう。……はて、それでは面白くないぞ。そうだ。そのことだけは、武蔵に耳打ちしておいてやろう」
だいぶ待った。
夜霧が腰に冷たくなる。小次郎は身を起して、
「武蔵どの」
呼んでみたのである。
おかしいぞ? ――と今頃になって思ってみることが、彼自身にもとたんに不安と焦りを呼び起していた。――タタタタタと小次郎は低地へ降りて行った。