Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「城太さんは、それをかぶって、どこにいたの」
「この崖をずっと登って行ったら、そこにもこのくらいな道があってね、その道のもっと上の方に、ちょうど坐りいい巨きな岩があったから、そこに腰かけて、ぽかんと、お月様の落ちて行くのを見ていたのさ」
「それをかぶって?」
「うん、……なぜっていえば、そこいらでやたらに、狐が啼いたり、狸だか狢だか知れない奴がゴソゴソするから、仮面をかぶって威張っていたら寄りつけまいと思ったからさ。――するとね、どこかでふいにキャーッという声がしたんだ。なんだろうあの声は。まるで針の山からきた木魂みたいな声だったぜ」
はぐれた雁
一
東山から大文字の麓あたりまではたしかに方角はついていたが、いつのまにか道を間違えていたとみえ、一乗寺村へ出るにはすこし山へ入り過ぎていた。
「これさ、なぜそうせかせか急ぐのじゃ。待たぬかよ。又八、又八」
先へ行く息子の足に遅れがちになると、お杉婆は、意地も我慢もなくなったように後から喘いでいう。
聞えよがしに、舌打ちして、
「なんだ口ほどもない。宿を立つ時、なんといっておれを叱りとばしたか」
待ってやらないわけにもゆかないので、又八はその度ごとに、足を止めて待ちはするが、こんな時とばかり、後からやっと追いついて来る老母を頭からやりこめた。