Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

一歩前だ。悔いは同時に改め得ることだった。それを知らしめてくれたものこそ神だとおもう。

彼は、神を信じる。しかし、「さむらいの道」には、たのむ神などというものはない。神をも超えた絶対の道だと思う。さむらいのいただく神とは、神を恃むことではなく、また人間を誇ることでもない。神はないともいえないが、恃むべきものではなく、さりとて自己という人間も、いとも弱い小さいあわれなもの――と観ずるもののあわれのほかではない。

「…………」

武蔵は、一歩退って、両手をあわせた。――しかし、その手は鰐口の綱へかけた手とは違ったものであった。

そしてすぐ、八大神社の境内から、細い急坂を駈け下りて行った。坂を降りきった山裾の傾斜に下り松の辻はあった。

五

のめるような急坂だった。豪雨の日でもあればそのまま滝となるような道に、洗い出された石ころが脆い土にすがっている。

武蔵が、一気に駈け下りてゆくと、石ころや土が、彼の踵を追いかけて静寂を破った。

「あっ」

なにものかが目に触れたのであろう、武蔵は突然、体を鞠にして、草の中へ転がった。

草はまだ朝露を一滴もこぼしていない。膝も胸も水びたしになってしまう。