Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

武蔵がそうして前へ突き向けている短い左剣には、磁石のような魔力があった。その先へかかった敵は、ちょうどモチ竿にとまった蜻蛉のように、退く間も交わす間もなかった。――あっといううちに長い右剣が唸ってきて、一颯のもとに、一個の人間を、びゅッと、血しおの花火にしてしまった。後に、ずっと後年にである。武蔵のこういう戦法を「二刀流の多敵の構え」と人が称んだ。しかし――今この場合の武蔵は、まったく無自覚でしていることだった。無我無思のうちに全能の人間力が、より以上の必要に迫られた結果、常には習慣で忘れていた左の手の能力を、われともなく、極度にまで有用に働かすことを、必然に呼びおこされていたに過ぎない。

けれど、剣法家としての彼は、まだ至って幼稚だったものといってよい。何流だの、何の形だのと、理論づけたり、体系づけている間などが今日まであろうわけはない。彼の運命からでもあったが、彼が信じて疑わずに通って来た道は、なんでも実践だった。事実に当って知ることだった。――理論はそれから後、寝ながらでも考えられるとして来たのである。

それとはあべこべに、吉岡方の十剣の人々を始め、末輩のちょこちょこしている人間まで、皆、京八流の理論は頭につめこんでいて理論だけでは、一家の風を備えたものも少なくない。