Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
そして夜具までのべた後、箒をかついで庫裡へ戻ってゆく。
――すると、誰もいないはずのそこの障子が、その後で、ズズズと静かに、すこし開いて、また閉った。
やがてのこと――
武蔵はなにも知らず帰って来たのである。住持から受けて来たらしい餞別の笠、草鞋など、旅装の具を枕べにおき、短檠の灯を消して、寝床についた。
戸閉りはしないので、風はじかに四方にあたる。外の星明りに障子は蒟蒻色に明るくて、樹々の影が海原の荒びを思わせる。
……かすかな鼾声になってゆく。武蔵は眠りについたらしい。
眠りのふかくなるほど、寝息も長く数えられた。と――隅の小屏風の端がすこし動き、ず……と猫のように背の尖った人影が膝で這い寄って来る。
ふと、武蔵の寝息が休むと、人影はぺたっと、布団より薄べたくなり、じっと寝息の深度を測りながら、根気よく大事をとって機を待っている。
――突然! ふわりっと、黒い真綿でもかぶさるように、武蔵の上へその人影がのしかかったのである――と見えたかと思うや否や、
「うっ、うぬっ。思い知れやっ!」
いきなり――脇差の切ッ先であった。寝首の喉へ、力まかせに、キッと走る。