Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
合戦は今、どこにもなく見えるが、関ヶ原の役は熄んでも、平和の裏の人生の戦はあんなものどころか、いよいよ修羅と術策の巷を作っているのだぞ。その中で、克ちきる道は、自分を研くことしかない。……なあ又八、もいちど槍を担いで出かける気で貴様も、真面目に世の中と取ッ組んでくれよ。勉強してくれよ、偉くなってくれよ。貴様がやる気ならおれもどんな力でも貸す、貴様の奴僕になってもいい、ほんとに貴様がやるという誓いを天地に立ててくれるならば――」
結び合っている二人の手へ、又八はぼろぼろ涙をこぼした。湯のようにそれは熱かった。
三
これが母の意見だと、耳にたこという顔を示して、いつも鼻で嗤い返す又八であるが、五年ぶりで会った友の言葉には、強く本心を衝たれてつい涙すらこぼしてしまった。
「……分った、分った、有難う」
繰返して、手の甲で眼を抑え、
「今日を心の誕生日として、おれも生れ直す。とてもおれは、剣で身を立てる素質はなさそうだから、江戸表へ行くなり、諸国を遍歴するなりして、そのうちに良師に出会ったら、就いて学問を励むことにする」
「おれも、ともに心がけて、良い師と良い主人を見つけてやろう。