Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

せめて、城太郎の消息でも知れそうなものだが、誰一人、そんな者を見かけたという者もない。

わけてお通の姿には特徴があるから、見た者があればすぐ知れるわけだが、どこで訊いても、

「はてねえ?」

と、気永に首をかしげる土民ばかりであった。

武蔵は、その二人の安否に胸を傷めると共に、縁もゆかりもないのに、この労苦を倶にしてくれる権之助にすまない気がしてくる。明日も野良へ出て働かなければならない体だろうにと思う。

「とんだ迷惑をおかけ申したのう。そのもう一軒を尋ねてみて、それでも知れぬとあれば、ぜひがない、諦めて戻るといたそう」

「歩くぐれいなこと、夜どおし歩いた所で、何のこともねえが、いったいその女子と童というのは、お武家の召使か、それとも姉弟たちかね」

「されば――」

まさか、その女性の方は恋人で、子供は弟子とも、答えられないので、

「身寄りの者です」

と、いうと、そういう肉親の少ない身を淋しく考え出してでもいるのか、権之助は無口になって、ひたすら野婦之池へ出るという雑木の丘の細道を先に歩いて行く。

武蔵は今、お通と城太郎を案じる気持で、胸もいっぱいになっていたが、その中にも心のうちでは、この機縁を作ってくれた運命の悪戯に――たとえ悪戯であろうと感謝せずにはいられなかった。