Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

から――

内儀さんの言葉をそのまま、権之助は口うつしにそこまで語って、

「こういってやると、その木刀を差した小僧は、泣きやんでまた、後も見ずに駈けて行ったということなんだが――もしや連れの城太郎とかいう子供が、それじゃあるめえか」

「オオ、それです」

武蔵は、城太郎の姿を、見るが如く想像しながら、

「――すると、拙者が探しに来たこの方角と、まるで違った方へ行ったわけですな」

「それやあ、此処は駒の麓だし、奈良井へ行く道からは、ずっと横へ入っている」

「何かと、お世話でござった。それでは早速、拙者もその奈良井の大蔵とかを、尋ねて参ろう。――お蔭で微かながら、緒口の解れて来た心地がする」

「どうせ途中になるから、おれの家へ寄って、一寝みした上で、朝飯でも喰って立つといい」

「そう願おうか」

「そこの野婦之池を渡って、池尻へ出ると、半分道で帰えれる。今、断っておいたから、舟を借りてゆくとしよう」

そこから少し降りてゆくと、楊柳に囲まれた太古のような水がある。周囲ざっと六、七町もあろうか。駒ヶ岳の影も、いちめんの星も、ありのままに、池の面に泛んでいた。

なぜなのか、この地方にそう見えない楊柳が、この池の周りだけには生い茂っている。