Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
年は老っても、こういうことには我慢のならない婆であった。ついこの年頃まで、郷里では、本位田家の隠居で通った権式ぐせが、とたんに憤っと出るのである。
「往来の者へ、壁土をはね返しながら、詫びもせず、笑うているという法があろうか」
郷里の畑でこういえば、小作や村の者は、慴伏したものであった。しかし、御新開の江戸へ遽に流れて来て、荒い土をこねている左官屋職人は、こてをうごかしながら鼻で笑った。
「なんだって。――変なばばあが、なにか、ぶつぶついってるぜ」
お杉婆は、いよいよ怒って、
「今、笑うたのは、いったい誰じゃ」
「みんなだよ」
「なんじゃと」
ばばが肩をいからせる程、職人たちは笑っていた。
年がいもない――よせばいいのにと、足を止めた往来の者は、はらはらしていたが、ばばの性格がそれではすまなかった。
黙って、彼女は土間の中へ入って行った。そして左官たちが、足場にして乗っている板へ手をかけながら、
「おのれであろうが」
と、板を外した。
左官たちは、漆喰板の泥を浴びて、板の上からころげ落ちた。
「こん畜生」
刎ね起きると、左官たちは、ひとつかみにしてしまいそうな権まくで、お杉ばばの前に立ったが、