Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
「――来てくだされッ。往来の衆ッ。盗人じゃっ」
一つや二つ、顔を撲っても、容易にばばの手が離れないので、持て余した掻っ攫いは、
「うるせえっ」
と、いいながら、足をあげて、ばばの脾腹を蹴とばした。
並たいていの老婆と心得たのがその小泥棒には不覚であった。うむうっ――と呻いてばばは仆れたものの、それと共に、襦袢一重になっても差していた小脇差を、抜きざまに酬いて、相手の足くびを斬っていた。
「ア痛ててて」
財布を持った小泥棒は、ちんばを曳いたままそれでも十間ばかり逃げたが、夥しい血がこぼれるのを見て、貧血して、往来へ坐ってしまった。
今、埋地で土地の手打をして、一人の乾児と共に歩いていた半瓦の弥次兵衛は、
「――やっ? そいつあこの間まで、部屋にごろついていた甲州者じゃねえか」
「そうのようです。財布を握っていますぜ」
「泥棒という声が聞えたが、部屋を出ても、まだ手癖がやまねえな。……おお彼方に老婆が仆れている。甲州者はおれが捕まえているから、あの老婆を労って来い」
半瓦は、そういうと、逃げかけるちんばの襟がみを抓んで、螽でも叩きつけるように、空地の方へ抛り出した。