Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「おじさん、買っとくれ」

「ばばさん、買っとくれよ」

と、半瓦とお杉のまわりに集まって来て、うるさく強請む。

子供が好きとみえて、半瓦の弥次兵衛はうるさがりもせず、

「なんだ蟹か。蟹なんざいらねえよ」

子供らは、一斉に、

「蟹じゃないよ」

と、着物の裾をふくろにしたり、ふところに入れたり、手に持っている物を示して、

「矢だよ、矢だよ」

と争っていう。

「なんだ、鏃か」

「ああ、鏃だよ」

「浅草寺のそばの藪に、人間や馬を埋めた塚があるよ。お詣りする人は、そこへこの鏃を上げて拝むよ。おじさんも上げてくれよ」

「鏃は要らない。だが、銭をやるからいいだろう」

半瓦が、銭を与えると、子供たちはまた、散らかって、鏃を掘っていたが、すぐ附近の藁屋根の家から、子供たちの親が出て来て、銭だけを取り上げて行った。

「ちぇっ」

半瓦は、嫌な気がしたとみえ、舌打ちして、眼をそらしたが、ばばは恍惚と、広い河原の眺めに見惚れていた。

「この辺から、あのように鏃がたんと出るところを見ると、この河原にも、合戦があったのじゃろうのう」

「よくは知らぬが、荏土の庄といわれていた頃、戦がたびたびあったらしいな。