Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

「……ざ、残念です!」

弟が兄に訴えるような、甘えた嗚咽と、歯がみをして叫んだ。

「馬鹿っ」

撲らないだけがまだいい新蔵の声だった。

「馬鹿者っ」

と、もう一度つづけて、

「――貴公たちに討てる相手ではないから止せと、再三再四、わしが止めたのになぜ出かけたか」

「でも……でも……。ここへ来ては、病床の師を辱しめ、隅田河原では、同門の者を四名も討った――あの佐々木小次郎ずれを、何でそのままに置けるものでしょうか。……無理ですっ、意地も抑え、手も抑えて、黙って怺えていろと仰っしゃる新蔵殿の方が、ご無理というものです」

「何が無理だ」

年こそ若いが、新蔵は小幡門中の高足であり、師が病床にあるうちは、師に代って弟子達に臨んでいる位置でもあった。

「貴公たちが出向いていい程なら、この新蔵が真っ先に行く。――先頃からたびたび道場へ訪れて来て、病床の師に、無礼な広言を吐きちらしたり、われわれに対しても、傍若無人な小次郎という男を、わしは怖れて捨てておいたのではないぞ」

「けれど、世間はそうは受けとりません。――それに、小次郎は、師のことや、また兵学上のことまでも、悪しざまに、各所でいいふらしているのです」