Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みやもとむさし

宮本武蔵(五)

吉川 英治

Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme

Aozora Bunko

伊織は、大きな斧をかつぎ、武蔵の歩む後に尾いて行った。

栗林がある。そこには松も杉もあった。

武蔵は、肌を脱ぎ、斧を揮って樹を伐り出した。丁々と、生木の肉が白く飛ぶ。

――道場を拵える? この平野を道場に修行する?

伊織には、いくら説明されても分る程度しか分らなかった。旅へ出ないで、この土地に止まることが何だかつまらない。

どさっ――と樹が仆れる。次々に斧が仆してゆく。

血のさした武蔵の栗色の皮膚には、黒い汗がりんりと流れ出した。この日頃からの惰気、倦怠、孤愁などはみな汗となって流れるかのようだ。

彼は昨日の未明、一個の農民で終った伊織の父の墓のある山から――坂東平野の未開をながめて、勃然と、今日のことを、思い立ったのであった。

(しばらく、剣を措いて、鍬を持とう!)

という発願だった。

剣を研くべく――禅をする、書をまなぶ、茶にあそぶ、画を描く、仏像を彫る。

鍬を持つ中にも、剣の修行はあるはずだと思う。

しかも、この広茫な大地は、さながらそのまま行道を待つ絶好な道場であり、また鍬と土には、必ず開墾が生じ、その余恵は、幾百年の末まで、幾多の人間を養うことにもなる。