Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
――すると、その時、忠利の冠の紐が城門の蹴放――つまり門の閾――に触ったというので、それから以後忠利の家臣は勿論、代々の家来も皆、朝夕、この門を通行するのに、決して真ん中を跨ぐことはしなかったということである。
当時の一国の国守が「城」に対してどれほど厳粛な観念を抱いていたか、また、家臣がその「主」に対して、どれほどな尊崇を抱いていたか、この一例はよくその辺の侍の気持を示している話であるが、壮年時代から既にそうした気宇のあった忠利であるから、その君へ家臣を推挙するにしても、うかつな者は、当然、推薦し難かった。
長岡佐渡はお弓場へ来て忠利の姿を見ると、すぐさっき岩間角兵衛へわかれ際に、うっかり、
(承知いたした)
と、いってしまった軽率なことばを胸に悔いていた。
三
若侍の中に立ち交じって、競射に汗をながしている細川忠利は、やはり一箇の若侍としか見えないほど無造作な姿だった。
今、一息ついて、何か侍臣たちと哄笑しながら、弓場の控へ来て、汗を拭っていたが、ふと老臣の佐渡の顔を見かけて、
「爺、そちも一射、試してみないか」
と、いった。
「いや、このお仲間では、大人げのうて」