Japanische Klassiker mit Furigana
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みやもとむさし
宮本武蔵(五)
吉川 英治
Lesen Sie 宮本武蔵(五) (みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 508.883 Zeichen · 1017 Bildschirme
耕介は後の刀を、仕舞いながらいった。
武蔵は、その間も、所有慾に煩悶した。売ってくれといえば、莫大な刀であろうし……などと思い惑ったが、どうしても抑えきれなくなって、いい出した。
「耕介どの、これを拙者に、お譲りくださるわけにはゆかないでしょうか」
「差上げましょう」
「お代は」
「てまえが求めた元値でよろしゅうございます」
「すると何程」
「金二十枚でございます」
「…………」
武蔵は、よしない望みと、よしない煩悶を、ふと悔いた。そんな金のある身ではなかった。で、彼はすぐ、
「いや、これは、お返しいたしましょう」
と、耕介の前へ戻した。
「なぜですか」
と、耕介はいぶかって――
「お買いにならずとも、いつまでも、お貸し申しておきますから、どうかお使いなさいまして」
「いや、借りておるのは、なおさら心もとない。一目見ただけでも、持ちたいという慾望にくるしむのに、持てぬ刀と分りながら、しばしの間身に帯びて、またそちらへ返すのは辛うござる」
「それほど、お気に召しましたかな……」
と耕介は、刀と武蔵とを見くらべていたが、
「よかろう、それまでに、恋いなされた刀なら、此刀はあなたへ嫁にあげるとしよう。