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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども彼の口は彼の腕ほど素直ではなかった。手を引込ました彼はすぐ口を開いた。

「僕は君の腹の中をちゃんと知ってる。君は僕がこれほど下層社会に同情しながら、自分自身貧乏な癖に、新らしい洋服なんか拵えたので、それを矛盾だと云って笑う気だろう」

「いくら貧乏だって、洋服の一着ぐらい拵えるのは当り前だよ。拵えなけりゃ赤裸で往来を歩かなければなるまい。拵えたって結構じゃないか。誰も何とも思ってやしないよ」

「ところがそうでない。君は僕をただめかすんだと思ってる。お洒落だと解釈している。それが悪い」

「そうか。そりゃ悪かった」

もうやりきれないと観念した津田は、とうとう降参の便利を悟ったので、好い加減に調子を合せ出した。すると小林の調子も自然と変って来た。

「いや僕も悪い。悪かった。僕にも洒落気はあるよ。そりゃ僕も充分認める。認めるには認めるが、僕がなぜ今度この洋服を作ったか、その訳を君は知るまい」

そんな特別の理由を津田は固より知ろうはずがなかった。また知りたくもなかった。けれども行きがかり上訊いてやらない訳にも行かなかった。両手を左右へひろげた小林は、自分で自分の服装を見廻しながら、むしろ心細そうに答えた。