Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
津田はそれぎり勾配の急な階子段をぎしぎし踏んで二階へ上った。
彼の机の上には比較的大きな洋書が一冊載せてあった。彼は坐るなりそれを開いて枝折の挿んである頁を目標にそこから読みにかかった。けれども三四日等閑にしておいた咎が祟って、前後の続き具合がよく解らなかった。それを考え出そうとするためには勢い前の所をもう一遍読み返さなければならないので、気の差した彼は、読む事の代りに、ただ頁をばらばらと翻して書物の厚味ばかりを苦にするように眺めた。すると前途遼遠という気が自から起った。
彼は結婚後三四カ月目に始めてこの書物を手にした事を思い出した。気がついて見るとそれから今日までにもう二カ月以上も経っているのに、彼の読んだ頁はまだ全体の三分の二にも足らなかった。彼は平生から世間へ出る多くの人が、出るとすぐ書物に遠ざかってしまうのを、さも下らない愚物のように細君の前で罵っていた。それを夫の口癖として聴かされた細君はまた彼を本当の勉強家として認めなければならないほど比較的多くの時間が二階で費やされた。前途遼遠という気と共に、面目ないという心持がどこからか出て来て、意地悪く彼の自尊心を擽った。