Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
お父さまがいらっしゃらなくっても構わないから」
「でもいるわ」
百合子はやはり動かなかった。子供でなくってはふるまいにくいこの腕白らしい態度の傍に、お延が年相応の分別を出して叔母に向った。
「あたしちょっと行って吉川さんの奥さんに御挨拶をして来ましょうか。澄ましていちゃ悪いわね」
実を云うと彼女はこの夫人をあまり好いていなかった。向うでもこっちを嫌っているように思えた。しかも最初先方から自分を嫌い始めたために、この不愉快な現象が二人の間に起ったのだという朧気な理由さえあった。自分が嫌われるべき何らのきっかけも与えないのに、向うで嫌い始めたのだという自信も伴っていた。先刻双眼鏡を向けられた時、すでに挨拶に行かなければならないと気のついた彼女は、即座にそれを断行する勇気を起し得なかったので、内心の不安を質問の形に引き直して叔母に相談しかけながら、腹の中では、その義務を容易く果させるために、叔母が自分と連れ立って、夫人の所へ行ってくれはしまいかと暗に願っていた。
叔母はすぐ返事をした。
「ああ行った方がいいよ。行っといでよ」
「でも今いらっしゃらないから」
「なにきっと廊下にでも出ておいでなんだよ。