Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「そんなに楽な身分のように吹聴しちゃ困るよ。買い被られるのもいいが、時によるとかえってそれがために迷惑しないとも限らないからね」
「あたし吹聴した覚なんかないわ。ただ向うでそうきめているだけよ」
津田は追窮もしなかった。お延もそれ以上説明する面倒を取らなかった。二人はちょっと会話を途切らした後でまた実際問題に立ち戻った。しかし今まで自分の経済に関して余り心を痛めた事のない津田には、別にどうしようという分別も出なかった。「御父さんにも困っちまうな」というだけであった。
お延は偶然思いついたように、今までそっちのけにしてあった、自分の晴着と帯に眼を移した。
「これどうかしましょうか」
彼女は金の入った厚い帯の端を手に取って、夫の眼に映るように、電灯の光に翳した。津田にはその意味がちょっと呑み込めなかった。
「どうかするって、どうするんだい」
「質屋へ持ってったら御金を貸してくれるでしょう」
津田は驚ろかされた。自分がいまだかつて経験した事のないようなやりくり算段を、嫁に来たての若い細君が、疾くの昔から承知しているとすれば、それは彼にとって驚ろくべき価値のある発見に相違なかった。