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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

お延はすぐ入用の品を箪笥の底から出してやろうかと思った。けれども彼女はまだ津田から何にも聞いていなかった。

「どうせもう着る事なんかなかろうとは思うんですが」といって逡巡った彼女は、こんな事に案外やかましい夫の気性をよく知っていた。着古した外套一つが本で、他日細君の手落呼わりなどをされた日には耐らないと思った。

「大丈夫ですよ、くれるって云ったに違ないんだから。嘘なんか吐きやしませんよ」

出してやらないと小林を嘘吐としてしまうようなものであった。

「いくら酔払っていたって気は確なんですからね。どんな事があったって貰う物を忘れるような僕じゃありませんよ」

お延はとうとう決心した。

「じゃしばらく待ってて下さい。電話でちょっと病院へ聞き合せにやりますから」

「奥さんは実に几帳面ですね」と云って小林は笑った。けれどもお延の暗に恐れていた不愉快そうな表情は、彼の顔のどこにも認められなかった。

「ただ念のためにですよ。あとでわたくしがまた何とか云われると困りますから」

お延はそれでも小林が気を悪くしない用心に、こんな弁解がましい事を附け加えずにはいられなかった。

お時が自働電話へ駈けつけて津田の返事を持って来る間、二人はなお対座した。