Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「どうせただ貰うんだからそう贅沢も云えませんかね」
「お気に召さなければ、どうぞ御遠慮なく」
「置いて行けとおっしゃるんですか」
「ええ」
小林はやッぱり外套を放さなかった。お延は痛快な気がした。
「奥さんちょっとここで着て見てもよござんすか」
「ええ、ええ」
お延はわざと反対を答えた。そうして窮屈そうな袖へ、もがくようにして手を通す小林を、坐ったまま皮肉な眼で眺めた。
「どうですか」
小林はこう云いながら、背中をお延の方に向けた。見苦しい畳み皺が幾筋もお延の眼に入った。アイロンの注意でもしてやるべきところを、彼女はまた逆に行った。
「ちょうど好いようですね」
彼女は誰も自分の傍にいないので、せっかく出来上った滑稽な後姿も、眼と眼で笑ってやる事ができないのを物足りなく思った。
すると小林がまたぐるりと向き直って、外套を着たなり、お延の前にどっさり胡坐をかいた。
「奥さん、人間はいくら変な着物を着て人から笑われても、生きている方がいいものなんですよ」
「そうですか」
お延は急に口元を締めた。
「奥さんのような窮った事のない方にゃ、まだその意味が解らないでしょうがね」
「そうですか。