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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

「そう云う訳でもないですが、何だか意味のあるような、またないような訊き方をしておいて、わざとその後をおっしゃらないんだから」

「後なんかありゃしないわよ。いったいあなたはあんまり研究家だから駄目ね。学問をするには研究が必要かも知れないけれども、交際に研究は禁物よ。あなたがその癖をやめると、もっと人好のする好い男になれるんだけれども」

津田は少し痛かった。けれどもそれは彼の胸に来る痛さで、彼の頭に応える痛さではなかった。彼の頭はこの露骨な打撃の前に冷然として相手を見下していた。細君は微笑した。

「嘘だと思うなら、帰ってあなたの奥さんに訊いて御覧遊ばせ。お延さんもきっと私と同意見だから。お延さんばかりじゃないわ、まだほかにもう一人あるはずよ、きっと」

津田の顔が急に堅くなった。唇の肉が少し動いた。彼は眼を自分の膝の上に落したぎり何も答えなかった。

「解ったでしょう、誰だか」

細君は彼の顔を覗き込むようにして訊いた。彼は固よりその誰であるかをよく承知していた。けれども細君の云う事を肯定する気は毫もなかった。再び顔を上げた時、彼は沈黙の眼を細君の方に向けた。その眼が無言の裡に何を語っているか、細君には解らなかった。