Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
お延の彼に対する平生の素振から推して見ると、この類測に満更な無理はなかった。彼は不用意の際に、突然としてしかも静粛に自分を驚ろかしに這入って来るお延の笑顔さえ想像した。その笑顔がまた変に彼の心に影響して来る事も彼にはよく解っていた。彼女は一刹那に閃めかすその鋭どい武器の力で、いつでも即座に彼を征服した。今まで持ち応えに持ち応え抜いた心機をひらりと転換させられる彼から云えば、見す見す彼女の術中に落ち込むようなものであった。
彼はお秀の注意もかかわらず、電話をそのままにしておいた。
「なにどうせ用じゃないんだ。構わないよ。放っておけ」
この挨拶がまたお秀にはまるで意外であった。第一はズボラを忌む兄の性質に釣り合わなかった。第二には何でもお延の云いなり次第になっている兄の態度でなかった。彼女は兄が自分の手前を憚かって、不断の甘いところを押し隠すために、わざと嫂に対して無頓着を粧うのだと解釈した。心のうちで多少それを小気味よく感じた彼女も、下から電話の催促をする薬局生の大きな声を聞いた時には、それでも兄の代りに立ち上らない訳に行かなかった。彼女はわざわざ下まで降りて行った。