Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「私は言葉に重きをおいていやしません。事実を問題にしているのです」
「事実とは何だ。おれの頭の中にある事実が、お前のような教養に乏しい女に捕まえられると思うのか。馬鹿め」
「そう私を軽蔑なさるなら、御注意までに申します。しかしよござんすか」
「いいも悪いも答える必要はない。人の病気のところへ来て何だ、その態度は。それでも妹だというつもりか」
「あなたが兄さんらしくないからです」
「黙れ」
「黙りません。云うだけの事は云います。兄さんは嫂さんに自由にされています。お父さんや、お母さんや、私などよりも嫂さんを大事にしています」
「妹より妻を大事にするのはどこの国へ行ったって当り前だ」
「それだけならいいんです。しかし兄さんのはそれだけじゃないんです。嫂さんを大事にしていながら、まだほかにも大事にしている人があるんです」
「何だ」
「それだから兄さんは嫂さんを怖がるのです。しかもその怖がるのは――」
お秀がこう云いかけた時、病室の襖がすうと開いた。そうして蒼白い顔をしたお延の姿が突然二人の前に現われた。
百三
彼女が医者の玄関へかかったのはその三四分前であった。医者の診察時間は午前と午後に分れていて、午後の方は、役所や会社へ勤める人の便宜を計るため、四時から八時までの規定になっているので、お延は比較的閑静な扉を開けて内へ入る事ができ