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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

滅多な事の云えないお延は、脇に抱えて来た風呂敷包を開けて、岡本の貸してくれた英語の滑稽本を出して津田に渡した。その指の先には、お秀が始終腹の中で問題にしている例の指輪が光っていた。

津田は薄い小型な書物を一つ一つ取り上げて、さらさら頁を翻えして見たぎりで、再びそれを枕元へ置いた。彼はその一行さえ読む気にならなかった。批評を加える勇気などはどこからも出て来なかった。彼は黙っていた。お延はその間にまたお秀と二言三言ほど口を利いた。それもみんな彼女の方から話しかけて、必要な返事だけを、云わば相手の咽喉から圧し出したようなものであった。

お延はまた懐中から一通の手紙を出した。

「今来がけに郵便函の中を見たら入っておりましたから、持って参りました」

お延の言葉は几帳面に改たまっていた。津田と差向いの時に比べると、まるで別人のように礼儀正しかった。彼女はその形式的なよそよそしいところを暗に嫌っていた。けれども他人の前、ことにお秀の前では、そうした不自然な言葉遣いを、一種の意味から余儀なくされるようにも思った。

手紙は夫婦の間に待ち受けられた京都の父からのものであった。