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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は比較的人通りの少ない宵闇の町を歩きながら、やはり明るい室内の光景をちらちら見た。

冷たそうに燦つく肌合の七宝製の花瓶、その花瓶の滑らかな表面に流れる華麗な模様の色、卓上に運ばれた銀きせの丸盆、同じ色の角砂糖入と牛乳入、蒼黒い地の中に茶の唐草模様を浮かした重そうな窓掛、三隅に金箔を置いた装飾用のアルバム、――こういうものの強い刺戟が、すでに明るい電灯の下を去って、暗い戸外へ出た彼の眼の中を不秩序に往来した。

彼は無論この渦まく色の中に坐っている女主人公の幻影を忘れる事ができなかった。彼は歩きながら先刻彼女と取り換わせた会話を、ぽつりぽつり思い出した。そうしてその或部分に来ると、あたかも炒豆を口に入れた人のように、咀嚼しつつ味わった。

「あの細君はことによると、まだあの事件について、おれに何か話をする気かも知れない。その話を実はおれは聞きたくないのだ。しかしまた非常に聞きたいのだ」

彼はこの矛盾した両面を自分の胸の中で自分に公言した時、たちまちわが弱点を曝露した人のように、暗い路の上で赤面した。彼はその赤面を通り抜けるために、わざとすぐ先へ出た。

「もしあの細君があの事件についておれに何か云い出す気があるとすると、その主意ははたしてどこにあるだろう」