Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「兄さん取っといて下さい」
「あなたいただいてもよくって」
津田はにやにやと笑った。
「お秀妙だね。先刻はあんなに強硬だったのに、今度はまた馬鹿に安っぽく貰わせようとするんだね。いったいどっちが本当なんだい」
お秀は屹となった。
「どっちも本当です」
この答は津田に突然であった。そうしてその強い調子が、どこまでも冷笑的に構えようとする彼の機鋒を挫いた。お延にはなおさらであった。彼女は驚ろいてお秀を見た。その顔は先刻と同じように火熱っていた。けれども涼しい彼女の眼に宿る光りは、ただの怒りばかりではなかった。口惜しいとか無念だとかいう敵意のほかに、まだ認めなければならない或物がそこに陽炎った。しかしそれが何であるかは、彼女の口を通して聴くよりほかに途がなかった。二人は惹きつけられた。今まで持続して来た心の態度に角度の転換が必要になった。彼らは遮ぎる事なしに、その輝やきの説明を、彼女の言葉から聴こうとした。彼らの予期と同時に、その言葉はお秀の口を衝いて出た。
百九
「実は先刻から云おうか止そうかと思って、考えていたんですけれども、そんな風に兄さんから冷笑かされて見ると、私だって黙って帰るのが厭になります。