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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

そこにはほかに何にもなかった。ただ二人がいるだけであった。そうして互の微笑が互の胸の底に沈んだ。少なくともお延は久しぶりに本来の津田をそこに認めたような気がした。彼女は肉の上に浮び上ったその微笑が何の象徴であるかをほとんど知らなかった。ただ一種の恰好をとって動いた肉その物の形が、彼女には嬉しい記念であった。彼女は大事にそれを心の奥にしまい込んだ。

その時二人の微笑はにわかに変った。二人は歯を露わすまでに口を開けて、一度に声を出して笑い合った。

「驚ろいた」

お延はこう云いながらまた津田の枕元へ来て坐った。津田はむしろ落ちついて答えた。

「だから彼奴に電話なんかかけるなって云うんだ」

二人は自然お秀を問題にしなければならなかった。

「秀子さんは、まさか基督教じゃないでしょうね」

「なぜ」

「なぜでも――」

「金を置いて行ったからかい」

「そればかりじゃないのよ」

「真面目くさった説法をするからかい」

「ええまあそうよ。あたし始めてだわ。秀子さんのあんなむずかしい事をおっしゃるところを拝見したのは」

「彼奴は理窟屋だよ。つまりああ捏ね返さなければ気がすまない女なんだ」

「だってあたし始めてよ」