Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
小林は何だかそこを承知しているらしかった。
「なに何にも云やしないよ。嘘だと思うなら、もう一遍お延さんに訊いて見たまえ。もっとも僕は帰りがけに悪いと思ったから、詫まって来たがね。実を云うと、何で詫まったか、僕自身にも解らないくらいのものさ」
彼はこう云って嘯いた。それからいきなり手を延べて、津田の枕元にある読みかけの書物を取り上げて、一分ばかりそれを黙読した。
「こんなものを読むのかね」と彼はさも軽蔑した口調で津田に訊いた。彼はぞんざいに頁を剥繰りながら、終りの方から逆に始めへ来た。そうしてそこに岡本という小さい見留印を見出した時、彼は「ふん」と云った。
「お延さんが持って来たんだな。道理で妙な本だと思った。――時に君、岡本さんは金持だろうね」
「そんな事は知らないよ」
「知らないはずはあるまい。だってお延さんの里じゃないか」
「僕は岡本の財産を調べた上で、結婚なんかしたんじゃないよ」
「そうか」
この単純な「そうか」が変に津田の頭に響いた。「岡本の財産を調べないで、君が結婚するものか」という意味にさえ取れた。
「岡本はお延の叔父だぜ、君知らないのか。里でも何でもありゃしないよ」