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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

彼がその土地を余り好まない母に同情して多少不賛成の意を洩らした時、父は自分で買った土地と自分が建てた家とを彼に示して、「これをどうする気か」と云った。今よりもまだ年の若かった彼は、父の言葉の意味さえよく解らなかった。所置はどうでもできるのにと思った。父は時々彼に向って、「誰のためでもない、みんな御前のためだ」と云った。「今はそのありがた味が解らないかも知れないが、おれが死んで見ろ、きっと解る時が来るから」とも云った。彼は頭の中で父の言葉と、その言葉を口にする時の父の態度とを描き出した。子供の未来の幸福を一手に引き受けたような自信に充ちたその様子が、近づくべからざる予言者のように、彼には見えた。彼は想像の眼で見る父に向って云いたくなった。

「御父さんが死んだ後で、一度に御父さんのありがた味が解るよりも、お父さんが生きているうちから、毎月正確にお父さんのありがた味が少しずつ解る方が、どのくらい楽だか知れやしません」

彼が父の機嫌を損ないような巻紙の上へ、なるべく金を送ってくれそうな文句を、堅苦しい候文で認め出したのは、それから約十分後であった。彼はぎごちない思いをして、ようやくそれを書き上げた後で、もう一遍読み返した時に、自分の字の拙い事につくづく愛想を尽かした。