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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

津田はふと気がついた。しかし相手に何か考えがあるんだなと悟った彼は、あまりに怜俐過ぎた。彼には澄ましてそこを通り抜けるだけの腹がなかった。それでいて当らず障らず話を傍へ流すくらいの技巧は心得ていた。彼は小林に捕まらなければならなかった。彼は云った。

「どうだ君ここの料理は」

「ここの料理もどこの料理もたいてい似たもんだね。僕のような味覚の発達しないものには」

「不味いかい」

「不味かない、旨いよ」

「そりゃ好い案配だ。亭主が自分でクッキングをやるんだから、ほかよりゃ少しはましかも知れない」

「亭主がいくら腕を見せたって、僕のような口に合っちゃ敵わないよ。泣くだけだあね」

「だけど旨けりゃそれでいいんだ」

「うん旨けりゃそれでいい訳だ。しかしその旨さが十銭均一の一品料理と同なじ事だと云って聞かせたら亭主も泣くだろうじゃないか」

津田は苦笑するよりほかに仕方がなかった。小林は一人でしゃべった。

「いったい今の僕にゃ、仏蘭西料理だから旨いの、英吉利料理だから不味いのって、そんな通をふり廻す余裕なんかまるでないんだ。ただ口へ入るから旨いだけの事なんだ」

「だってそれじゃなぜ旨いんだか、理由が解らなくなるじゃないか」