Japanische Klassiker mit Furigana
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めいあん
明暗
Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme
「ありがとう」
「いや嘘じゃないよ。現にこの間もお延にその訳をよく云って聴かせたくらいだもの」
胡散臭いなという眼が小林の眉の下で輝やいた。
「へええ。本当かい。あの細君の前で僕を弁護してくれるなんて、君にもまだ昔の親切が少しは残ってると見えるね。しかしそりゃ……。細君は何と云ったね」
津田は黙って懐へ手を入れた。小林はその所作を眺めながら、わざとそれを止めさせるように追加した。
「ははあ。弁護の必要があったんだな。どうも変だと思ったら」
津田は懐へ入れた手を、元の通り外へ出した。「お延の返事はここにある」といって、綺麗に持って来た金を彼に渡すつもりでいた彼は躊躇した。その代り話頭を前へ押し戻した。
「やはり人間は境遇次第だね」
「僕は余裕次第だというつもりだ」
津田は逆らわなかった。
「そうさ余裕次第とも云えるね」
「僕は生れてから今日までぎりぎり決着の生活をして来たんだ。まるで余裕というものを知らず生きて来た僕が、贅沢三昧わがまま三昧に育った人とどう違うと君は思う」
津田は薄笑いをした。小林は真面目であった。
「考えるまでもなくここにいるじゃないか。君と僕さ。