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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんなつもりじゃないよ」

「つもりでなければ、もう少いろよ」

「少し用があるんだ」

「こっちにも少し用があるんだ」

「絵なら御免だ」

「絵も無理に買えとは云わないよ。吝な事を云うな」

「じゃ早くその用を片づけてくれ」

「立ってちゃ駄目だ。紳士らしく坐らなくっちゃ」

仕方なしにまた腰をおろした津田は、袂から煙草を出して火を点けた。ふと見ると、灰皿は敷島の残骸でもういっぱいになっていた。今夜の記念としてこれほど適当なものはないという気が、偶然津田の頭に浮かんだ。これから呑もうとする一本も、三分経つか経たないうちに、灰と煙と吸口だけに変形して、役にも立たない冷たさを皿の上にとどめるに過ぎないと思うと、彼は何となく厭な心持がした。

「何だい、その用事というのは。まさか無心じゃあるまいね、もう」

「だから吝な事を云うなと、先刻から云ってるじゃないか」

小林は右の手で背広の右前を掴んで、左の手を隠袋の中へ入れた。彼は暗闇で物を探るように、しばらく入れた手を、背広の裏側で動かしながら、その間始終眼を津田の顔へぴったり付けていた。すると急に突飛な光景が、津田の頭の中に描き出された。