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Japanische Klassiker mit Furigana

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めいあん

明暗

夏目 漱石

Lesen Sie 明暗 (めいあん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 322.590 Zeichen · 645 Bildschirme

Aozora Bunko

周囲の混雑と対照を形成る雨の停車場の佗しい中に立って、津田が今買ったばかりの中等切符を、ぼんやり眺めていると、一人の書生が突然彼の前へ来て、旧知己のような挨拶をした。

「あいにくなお天気で」

それはこの間始めて見た吉川の書生であった。取次に出た時玄関で会ったよそよそしさに引き換えて、今日は鳥打を脱ぐ態度からしてが丁寧であった。津田は何の意味だかいっこう気がつかなかった。

「どなたかどちらへかいらっしゃるんですか」

「いいえ、ちょっとお見送りに」

「だからどなたを」

書生は弱らせられたような様子をした。

「実は奥さまが、今日は少し差支えがあるから、これを持って代りに行って来てくれとおっしゃいました」

書生は手に持った果物の籃を津田に示した。

「いやそりゃどうも、恐れ入りました」

津田はすぐその籃を受け取ろうとした。しかし書生は渡さなかった。

「いえ私が列車の中まで持って参ります」

汽車が出る時、黙って丁寧に会釈をした書生に、「どうぞ宜しく」と挨拶を返した津田は、比較的込み合わない車室の一隅に、ゆっくりと腰をおろしながら、「やっぱりお延に来て貰わない方がよかったのだ」